大根の育て方|種まきから収穫まで、又根にしない土作りと抜きどき

葉つきのまま収穫されたばかりの青首大根

大根は秋まき野菜のなかでも育てやすい部類に入りますが、土の作り方ひとつで結果がはっきり分かれます。この記事では、暖地の秋まきを基準に、種まきから収穫までの流れ、又根(またね)にしない土作り、間引きと追肥のタイミング、そして「もう抜いていい」と判断するサインまでをまとめました。プランターでミニ大根を育てる場合の違いにも触れます。

みのり

今日は、大根が二股に割れる理由と、抜きどきの見分け方までいきます。

ゆみこおばあちゃん

大根の畑を見れば、その人の耕し方が分かるのよ。根は正直だからね。

目次

栽培の流れと時期|暖地は9月中旬〜10月上旬まき、11月末から収穫

大根はアブラナ科の野菜で、食べている白い部分は根と胚軸(はいじく=発芽したときの茎にあたる部分)が一緒に太ったものです。青首大根の首が緑色なのは、この胚軸が地上に出て日に当たるためで、病気でも育ちすぎでもありません。

生育に向くのは涼しい気候で、生育適温はおおむね15〜20℃。発芽そのものは15〜30℃と幅広く反応します。暖地(福岡あたり)の秋まきなら、種まきは9月中旬から10月上旬、収穫は11月末から年内いっぱい が基本線になります。中間地・寒冷地はこれより1〜2週間ほど前倒しになるので、種袋の裏にある地域別の栽培暦を確認してから日を決めてください。

種まきから収穫までは、青首総太り系の品種で60〜90日ほど。9月下旬にまいた株が12月に入っても細いままということは、ふつうは起きません。もし太っていなければ、まき遅れか間引き遅れか肥料切れのどれかを疑います。

時期の目安作業
種まきの2〜3週間前深く耕して石を除く/石灰と堆肥を入れる
種まきの1週間前元肥を入れて畝を立てる
9月中旬〜10月上旬点まき(1穴4〜5粒)、すぐ防虫ネット
まいて3〜5日発芽
子葉〜本葉6〜7枚間引き3回+追肥・土寄せ
まいて60〜90日収穫

春にもまけますが、春まきは低温で花芽ができて薹(とう)が立ちやすく、根が硬くなります。初めての一本なら秋まきを選ぶほうが結果が出ます。春にまくなら「春まき用」と明記された晩抽(ばんちゅう)性の品種を使ってください。

スコップで深く耕した畑の土と取り除いた小石

土作り|深く耕して石と未熟な堆肥を入れない

大根づくりの成否の大半はここで決まります。大根の根はまっすぐ下に伸びる直根(ちょっこん)で、先端の生長点はとても繊細です。伸びていく先に石ころや硬い土の塊、分解しきっていない堆肥のかけらがあると、そこで先端が傷んで枝分かれします。これが又根(二股大根)の正体です。

対策はひとつ、深さ30cm以上を掘り返して、石と未分解の有機物を取り除くこと。大型品種なら40cmほしいところです。スコップを垂直に挿して土を起こし、手で塊をほぐしながら石を拾います。地味な作業ですが、ここを手抜きすると収穫のときに必ず思い出すことになります。

堆肥は「完熟」を選び、種まきの2〜3週間前までに入れて土になじませます。牛ふん堆肥でも腐葉土でも、握って形が崩れず繊維がそのまま残っているようなものは未熟です。石灰は大根の好むpH6.0〜6.5に合わせるためのもので、苦土石灰なら1平方メートルあたり100g前後が目安。石灰と堆肥・肥料を同時に入れると成分が反応して効きが落ちるため、石灰を先に入れて1週間ほど空けます。

【又根をつくる三大原因】

①土の中の石・硬い土塊

②未熟な堆肥やぼかし肥のかたまり

③根の伸びる真下に置かれた粒状肥料

いずれも「根の先端が硬いものに当たる」という一点に集約されます。

元肥は化成肥料を1平方メートルあたり100g程度、全体に散らしてよく混ぜ込みます。株のすぐ下に肥料をまとめて置くのは避けてください。畝は幅60〜70cm、高さ10〜15cmほど。水はけの悪い場所ほど畝を高くします。土作りの基本手順は家庭菜園の土作りの基本で詳しく書いているので、畑を一から起こす方はそちらもどうぞ。

種まき|点まきで1穴4〜5粒、間引きで1本に

大根は直まきです。根を傷めるとそこから又根になるので、ポットで育てて植え替える方法は使えません。株間は青首の標準的な品種で25〜30cm、2条まきなら条間30cm前後をとります。

STEP
1. まき穴をつくる

空き瓶の底やペットボトルの底を土に押しつけ、直径6〜7cm、深さ1cmほどのくぼみを作ります。底が平らになるので、4〜5粒が同じ深さに並びます。

STEP
2. 種をまく

1穴に4〜5粒、種どうしが触れないよう間隔をあけて置きます。1粒まきにしないのは、発芽のばらつきや虫の食害に備えるためと、複数株を競わせたほうが初期の生育がそろうためです。

STEP
3. 覆土して押さえる

土を1cmほどかぶせ、手のひらで軽く押さえます。種と土が密着しないと発芽がそろいません。

STEP
4. 水やりと防虫ネット

たっぷり水をやり、その日のうちに防虫ネットをかけます。発芽してからでは手遅れになることがあります。

順調なら3〜5日で芽が出ます。発芽適温の上限に近い残暑のうちにまくと発芽はそろいますが、害虫の活動も盛んです。逆に10月半ばを過ぎると気温が下がって生育日数が伸び、太りきる前に寒さで止まってしまいます。

間引きの回数とタイミング

間引きは3回に分けます。1回目は子葉(双葉)が開いたころに、形の悪いものや虫に食われたものを抜いて3本に。大根の子葉はきれいなハート形に開くので、ゆがんでいる株を落とすと選びやすくなります。2回目は本葉2〜3枚のころに2本、3回目は本葉6〜7枚のころに1本立ちにします。

抜くときは残す株の根が動かないよう、片手で株元を押さえながら引き抜きます。込み合っていて抜きにくければ、地際をはさみで切ってしまってかまいません。間引き菜は炒めものや浅漬けにできるので、捨てずに持ち帰ってください。

間引きが遅れると株どうしが光と養分を奪い合い、根が細いまま葉ばかり茂ります。

プランターならミニ大根を深型に

ベランダで普通サイズの青首大根を育てるのは、正直おすすめしません。根が40cm近く伸びるので、それに見合う深さの容器は重くて扱いに困ります。プランターなら「ミニ大根」「短形」と書かれた品種、根の長さが20cm前後で収まるものを選びます。

容器は深さ30cm以上の深型プランターか、10号(直径30cm)以上の丸鉢。土は野菜用培養土をそのまま使い、縁から2〜3cm下まで入れて水やりのスペースを残します。深型プランターなら株間15cm前後で2〜3株、丸鉢なら1株が目安です。土が少ないぶん乾きやすく肥料も流れやすいので、露地より水やりと追肥をこまめにします。

水やりと追肥|間引きのたびに追肥と土寄せ

畑に直まきした大根は、発芽までは土の表面を乾かさないように水をやり、根が張ってからは雨まかせで育ちます。かえって水をやりすぎると根が深く伸びなくなります。秋に晴天が2週間も続いて葉が昼間しおれるようなら、夕方にたっぷり一度やる、という程度で十分です。

追肥は間引きの2回目と3回目に合わせます。化成肥料を1株あたり一つまみ(10g前後)、株から15cmほど離した位置にまき、土と軽く混ぜてから株元に寄せます。この土寄せには二つの意味があります。ひとつは株がぐらつかないよう支えること、もうひとつは肩の部分が地上に出すぎて緑化したり、割れたりするのを防ぐことです。

追肥は「株の真下」ではなく「少し離した横」にまく。真下の肥料は又根のもとになります。

プランターの場合は、間引きのたびに加えて、その後も2週間に1回ほど液体肥料を与えると最後まで肥料が切れません。葉の色が薄い黄緑になってきたら肥料切れのサインです。

防虫ネットの下で育つ双葉の大根の芽

病害虫|アオムシ・ダイコンサルハムシは防虫ネットで

大根の葉はアブラナ科なので、とにかく虫が来ます。秋まき初期に問題になるのは、アオムシ(モンシロチョウの幼虫)、コナガ、ダイコンサルハムシ、キスジノミハムシ、それにアブラムシです。ダイコンサルハムシは黒い小さな甲虫で、成虫も幼虫も葉を網目状に食い荒らします。キスジノミハムシは幼虫が地中で根の表面をかじり、収穫した大根に黒い筋やかさぶた状の傷を残します。

もっとも効くのは物理的な遮断です。種をまいたその日に、目合い1mm以下の防虫ネットをトンネル状にかけて裾を土で完全に埋める。キスジノミハムシまで防ぐなら0.8mm目合いが安心できます。裾が1か所でも浮いていると、そこから入って産卵されます。ネットの選び方とトンネルの張り方は防虫ネットの選び方と張り方にまとめました。

それでも入られたときは、数が少ないうちに手で取ります。増えてしまったら薬剤を使います。家庭菜園向けでは、アオムシ・コナガにはBT剤(バチルス・チューリンゲンシス菌の製剤)が扱いやすく、収穫前日まで使える登録のものもあります。ただし希釈倍率・使用回数・収穫前日数は製品ごとに違うので、必ず容器のラベルにある「ダイコン」の欄を見て、そこに書かれた倍率と回数を守ってください。作物名の登録がない薬剤を使うことはできません。

病気では、葉が黄色く枯れ上がる萎黄病、株元が溶けるように腐る軟腐病があります。どちらも土の中の菌によるもので、治す手立てはありません。アブラナ科(大根・カブ・白菜・キャベツ)を同じ場所で続けて作らず、2〜3年あけるのが一番の予防です。

収穫|外葉が垂れて首が太ったら抜く、抜き遅れは筋とスが入る

収穫のサインは葉と首に出ます。それまで斜め上に立っていた外葉が、横に開いて地面に垂れてきたら、根の肥大がほぼ終わった合図です。同時に、地上に出ている首の部分が太くなり、根の上部の直径が品種の標準サイズ(青首総太り系なら6〜8cm)に近づきます。

試しに一本、株元の土を少しよけて太さを確かめ、両手で葉の付け根をまとめて持ち、まっすぐ上に引き抜きます。斜めに引っ張ると途中で折れます。

外葉が垂れて開いた株から順に抜く。畑に置いたまま「もう少し大きく」と待つと品質が落ちます。

抜き遅れると、根の中に空洞ができる「ス入り」が進みます。葉の生長に根の水分と養分が使われ、内部の細胞がスカスカになる現象で、切ってみるまで分かりません。繊維も硬くなって、煮ても味がしみなくなります。年内に食べきれない分は、葉を切り落として畑の隅に横に寝かせて埋めておくと、寒さに当てながら1〜2か月保存できます。

うまくいかないとき|又根・割れる・太らない

又根になった——原因はほぼ土の中にあります。石、硬い層、未熟な堆肥、株の真下の肥料。次のシーズンは耕す深さを10cm増やし、堆肥は完熟のものを2〜3週間前に入れてください。ちなみに又根でも味は変わりません。皮をむくのが面倒なだけで、ふつうに食べられます。

縦にひび割れた(裂根)——土の乾湿の差が大きいと起こります。カラカラに乾いたあとにまとまった雨が降ると、内側が急に膨らんで表皮が耐えられません。畝に敷きわらやもみ殻を敷いて土の乾き方をゆるやかにすると、かなり減ります。割れた部分から傷みが進むので、見つけたら早めに収穫して食べてしまいます。

太らない——間引き遅れ、まき遅れ、肥料不足、酸性土のどれかです。特に多いのが間引き遅れで、本葉6〜7枚を過ぎても2本立ちのままだと、どちらも中途半端な太さで止まります。10月下旬以降にまいた場合は、寒さで生育が止まるため、そもそも太る時間が足りません。

辛すぎる——高温と乾燥、それに肥料切れで辛味成分が増えます。夏の名残の暑さのなかで育った上部や、水が足りなかった株は辛くなりがちです。この場合は加熱すれば辛味がやわらぐので、おでんや煮物にまわします。

まとめ|深い土と間引き、抜きどきの3つ

大根で押さえるところは、結局3つに絞られます。30cm以上を深く耕して石と未熟な堆肥を除くこと。本葉6〜7枚までに3回に分けて1本立ちにし、そのたびに追肥と土寄せをすること。そして外葉が垂れたら待たずに抜くこと。種をまいたその日に防虫ネットをかけておけば、虫の心配もほとんど消えます。

そろえておくと作業が早い道具を挙げておきます。

  • 剣先スコップ(深耕用・30cm以上を起こせるもの)
  • 完熟堆肥と苦土石灰、野菜用の化成肥料
  • 防虫ネット(目合い0.8〜1mm)とトンネル支柱、裾を留めるピン
  • 深さ30cm以上の深型プランターと野菜用培養土(ベランダ栽培の場合)
みのり

抜いた瞬間に土がぼろっと落ちて、白い首が出てくるところがいちばん好きです。

ゆみこおばあちゃん

葉が開ききる前に抜きなさい。待つほど固くなるんだから。

発芽がそろいません。原因は?

覆土が厚すぎるか、逆に土と種が密着していないかのどちらかが大半です。覆土は1cm、まいたあと手のひらで軽く押さえてください。地温が30℃を大きく超える時期にまいた場合も発芽が乱れます。

葉ばかり大きくて根が細いままです。

間引き遅れか、窒素が多すぎるかです。本葉6〜7枚までに1本立ちにし、追肥は株の真下ではなく15cmほど離してまきます。元肥を入れすぎた年は追肥を控えめにします。

収穫した大根に空洞がありました。食べられますか?

空洞そのものは病気ではないので食べられます。ただし食感が落ちるので、細かく切って煮物や味噌汁に使うといいです。次は収穫を早めにしてください。

あわせて読みたい大根の図鑑

青首総太り、ミニ大根、聖護院のような丸大根、辛味大根——大根は品種ごとに必要な土の深さも栽培日数も違います。どれを選ぶか迷ったら、大根の野菜図鑑で品種ごとの特徴と向いている料理をまとめているので、種を買う前にのぞいてみてください。

なお、農薬の登録内容や種袋の栽培暦は改訂されることがあります。使用前に製品ラベルと種袋の最新の表示を確認してください。

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