ネギの育て方|葉ネギ・長ネギ・買ってきたネギの再生、土寄せで白くする

根元が白く伸びた収穫したての長ネギの束

ネギは家庭菜園でいちばん元気の出る野菜かもしれません。刈っても刈ってもまた伸びてきますし、薬味が必要になったときにベランダで数本抜けるのは、思っている以上に便利です。ただし「ネギの育て方」とひとくくりにすると必ず迷います。青い葉を食べる葉ネギと、白い部分を食べる長ネギでは、植え方も、手のかけ方も、収穫の仕方も別物だからです。この記事では、葉ネギ・小ネギをプランターで繰り返し収穫する方法、長ネギを溝に植えて土寄せで白くする方法、買ってきたネギの根元から再生させる方法を、それぞれ分けて説明します。さび病やネギアザミウマといったつまずきどころ、細くなる・倒れる・白い部分が短いといった失敗の原因も合わせて扱います。

目次

ネギの種類と育て方の違い|葉ネギ・長ネギ・小ネギ

ネギはヒガンバナ科ネギ属の野菜です(以前はユリ科に分類されていました)。同じ種のなかで、どこを食べるかによって大きく二つの系統に分かれます。青い葉の部分を食べる葉ネギ(九条ネギなど関西で発達した系統)と、白い葉鞘部を食べる長ネギ=根深ネギ(石倉一本太などの関東で発達した系統)です。小ネギ・万能ネギ・青ネギと呼ばれるものは、葉ネギを若いうちに収穫したものと考えて差し支えありません。

この違いがそのまま栽培の違いになります。葉ネギは土から出た部分を育てるので、浅いプランターで十分で、種をまいて間引いて刈るだけ。長ネギは土に埋まった部分を白く長く育てるので、深い溝と、何度かに分けた土寄せという作業が要ります。はじめてなら葉ネギ、白い部分をたっぷり食べたいなら長ネギという選び方でまず問題ありません。

葉ネギ・小ネギ長ネギ(根深ネギ)
食べる部分緑の葉白い葉鞘部
容器・場所深さ15cm以上のプランターで可深さ30cm以上の畑・大型容器
植え方種まき(またはポット苗)深い溝に苗を立てかける
特有の作業間引き土寄せ(3〜5回)
栽培期間の目安種まきから2〜3か月で初収穫植え付けから4〜6か月
収穫の仕方根元を残して刈り、繰り返す掘り上げて1本ずつ

ネギ全般に共通する性質もあります。乾燥には比較的強く、逆に水はけの悪い土や過湿はとても苦手です。酸性土を嫌うので、畑なら植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて耕しておきます。発芽適温は15〜25℃前後、生育適温は15〜20℃前後で、真夏の高温期は生育が鈍り、真冬も止まります。春と秋がよく伸びる時期です。

葉ネギ・小ネギの育て方|プランターで年中、刈っても伸びる

葉ネギは、家庭菜園で育てる価値がいちばん分かりやすい野菜のひとつです。スーパーで買えば数日で使い切ってしまう薬味が、プランターひとつで何か月も続きます。

種まきの適期は春(3〜5月)と秋(9〜10月)です。真夏と真冬を避ければ幅は広く、暖地なら秋まきで冬を越し、翌春から本格的に収穫できます。容器は深さ15〜20cmの標準プランターで足ります。培養土は市販の野菜用培養土をそのまま使うのが確実です。

まき方は、条間(列と列の間隔)10cmほどで浅い溝をつけ、種が触れ合わない程度に筋まきします。ネギの種は光を嫌うので、5mmほどしっかり覆土してください。ここが浅いと発芽がそろいません。発芽までは土の表面を乾かさないことが最大のコツで、7〜10日ほどで芽が出そろうことが多いものの、乾かしてしまうと一気に歯抜けになります。新聞紙や不織布を一時的にかけておくと安定します。

芽が出たら二度に分けて間引きます。草丈5cmほどで1〜2cm間隔、10cmを超えたら3〜5cm間隔が目安です。間引いた苗も薬味として使えるので捨てずに済みます。この頃から2〜3週間に1回、化成肥料をひとつまみずつ株元にまくか、液体肥料を水やり代わりに与えます。葉ネギは肥料が切れると葉色が淡くなり、細くなります。

草丈25〜30cmになったら収穫です。ここで根元から引き抜かず、株元を3〜4cm残してハサミで刈ると、そこからまた伸びてきます。刈ったあとに追肥をしておくと再生が早く、条件がよければ年に3〜4回は収穫できます。

葉ネギは「抜く野菜」ではなく「刈る野菜」。根元を残せば1回の種まきで何度も食べられます。

2〜3年たつと株が混み合って細くなってくるので、株分けして植え直すか、新しく種をまき直します。なお、ネギは冬に凍っても春に復活することが多く、地上部が枯れたように見えても慌てて抜かないほうがよい野菜です。

深い溝の壁に立てかけて植えた長ネギの苗

長ネギの育て方|溝に植えて土寄せで白い部分を作る

長ネギの白い部分は、品種の力ではなく土に埋めた結果です。光が当たらない部分が白く軟らかく育つので、生長に合わせて土を寄せていく作業がそのまま出来を決めます。品種は石倉一本太、松本一本ねぎ、下仁田ねぎ、深谷ねぎなどがあり、下仁田系は太く短く、加熱してとろりとするタイプ。はじめてなら育てやすい石倉系の一本ネギが無難です。

苗の植え付けと溝の深さ

種から育てると育苗に2〜3か月かかるので、家庭菜園ではホームセンターで春に出回る苗(鉛筆ほどの太さの束売り)を買うのが現実的な近道です。植え付けは春(3〜5月)が中心で、秋から冬にかけて収穫します。

STEP
溝を掘る

幅15〜20cm、深さ25〜30cmの溝を掘ります。掘り上げた土は溝の片側に寄せておき、これを後の土寄せに使います。畝間は90cmほど取ると土寄せの土が確保できます。

STEP
苗を立てかける

溝の垂直な壁に沿って、苗を5cm間隔で立てかけます。並べるだけでよく、深植えにする必要はありません。

STEP
根元に土をかぶせる

根が隠れる程度、3〜5cmだけ土を戻します。ここで一気に埋めると、生長点が土に埋まって傷みます。

STEP
わらや落ち葉を敷く

苗の株元にわらを敷くと、土が硬く締まるのを防ぎ、白い部分が軟らかく仕上がります。手に入らなければ省いても構いません。

STEP
水やりは控えめに

植え付け直後は水をやらないか、ごく軽くにとどめます。ネギは乾燥に強く、根が動き出すまで湿らせすぎるほうが失敗します。

土寄せの回数とタイミング

土寄せは、植え付け後1か月ほどして苗が動き出してから始めます。以後は3〜4週間おきに、1回につき5cmほどずつ少しずつ寄せていきます。合計3〜5回で、最終的に溝が埋まって逆に畝が盛り上がった状態になります。

いちばん大事なのは、葉が分かれている分岐点(生長点にあたる部分)を土に埋めないことです。ここを埋めると生育が止まったり、蒸れて腐ったりします。土は葉の分かれ目の少し下までにとどめてください。一度に深く寄せるより、浅く回数を重ねるほうが白い部分はきれいに伸びます。

最後の土寄せは収穫の3〜4週間前までに終えます。直前に寄せても白くならず、土だけかぶった状態になります。

プランターで長ネギを育てたい場合は、深さ30cm以上の深型プランターに土を半分だけ入れて植え、生長に合わせて土を足していく方法で代用できます。白い部分は畑ほど長くなりませんが、15cm程度なら十分ねらえます。

追肥

追肥は土寄せとセットにすると忘れません。土寄せのたびに、化成肥料(8-8-8など)を1平方メートルあたり30〜50g、株元と溝の側面にまいてから土を寄せます。プランターなら1回ひとつかみ程度を株の列に沿ってまきます。

長ネギは栽培期間が長いぶん肥料切れを起こしやすく、切らすと葉色が黄色っぽくなり、太りません。一方で窒素をやりすぎると軟弱になり、さび病が出やすくなります。生育の後半、収穫の1か月前を切ったら追肥は止めます。

鉢の土に挿して再生させているネギの根元

買ってきたネギを再生する|根元5cmを土に挿す

種も苗も買わずに始められるのが、料理で切り落としたネギの根元を植え直す方法です。子どもと一緒にやるにもちょうどよく、失敗しても元は取れています。

使うのは、白い部分を根つきのまま5cmほど残した根元です。根が黒く傷んでいる場合は先端を少し切り戻します。深さ10cm以上のプランターや空き鉢に培養土を入れ、根元が2〜3cm埋まるように挿して、軽く水をやります。日当たりのよい場所に置けば、春や秋なら数日で中心から新しい緑の葉が立ち上がってきます。

2〜3週間で薬味に使える程度まで伸びるので、根元を残して刈り取ります。1〜2回はしっかり再生しますが、そのあとは細く弱くなっていくので、長く楽しみたければ早めに追肥をして、株が疲れてきたら新しい根元と入れ替えます。買ってきたネギは畑で育ったときの蓄えで伸びているだけなので、無限には続きません。

【水に挿す方法との違い】

コップの水で再生させる方法もあり、こちらは1回目の再生が早いのが長所です。ただし水だけでは養分がなく、2回目以降はっきり細くなります。長く収穫したいなら土に挿すほうが確実です。水での再生をじっくり試したい方は、記事末尾の姉妹サイトの記事をどうぞ。

病害虫|さび病・アブラムシ・ネギアザミウマ

ネギで出会いやすいトラブルは数が限られています。名前と見た目を先に知っておくと、対処がぐっと早くなります。

さび病は、葉の表面にオレンジ色〜黄褐色の小さな斑点が浮き出る病気で、進むと粉を吹いたようになります。春と秋の涼しく湿った時期に出やすく、窒素肥料の効かせすぎ、逆に肥料切れで弱ったとき、株が混み合って風通しが悪いときに広がります。見つけた葉は早めに取り除いて畑の外へ。少量なら葉を落とすだけで収まることも多いものです。広がる場合は、ネギのさび病に登録のある殺菌剤(家庭園芸ではSTダコニール1000などが代表的)を使います。

ネギアザミウマは体長1mm前後の細長い虫で、葉の汁を吸うため、葉に白いかすり状の筋がたくさん入ります。高温乾燥期、とくに梅雨明け後に一気に増えます。アブラムシは新芽や葉の付け根に群がり、ネギコガの幼虫は葉に潜って白い筋状の食害痕を残します。いずれも防虫ネットでの物理的な予防が効き、葉ネギのプランターなら種まき直後からネットをかけておくだけで発生がかなり減ります。

薬剤を使うときにネギ特有の注意点がひとつあります。ネギの葉の表面はロウ質で水をはじくため、薬液がそのまま流れ落ちてしまいます。展着剤を混ぜて葉に留まるようにするのが、農薬の効き方を決めます。ラベルに展着剤の指示がある製品も多いので確認してください。

農薬は、対象作物(ネギ)と対象病害虫の両方が登録されている製品を選び、希釈倍率・使用回数・収穫前日数は必ず製品ラベルの記載に従ってください。

薬剤に頼りたくない場合、アブラムシ程度なら牛乳や石けん水のスプレー、うどんこ症状には重曹を薄めたスプレーといった民間的な方法も使われています。効き目は限定的で、濃すぎると葉を傷めるので、まずは目立たない一株で試してから広げるのが安全です。

収穫|葉ネギは根元を残して刈る、長ネギは霜に当ててから

葉ネギは草丈25〜30cmが目安ですが、細いうちに刈っても、太らせてから刈っても構いません。株元3〜4cmを残して刈れば再生します。数回刈ると株が疲れてくるので、そのタイミングで追肥をひとつまみ。冬に地上部が傷んでも根は生きているので、春にまた立ち上がってきます。

長ネギは、白い部分が30cm前後になった秋以降が収穫期です。ここで急がないほうが得をします。長ネギは霜に何度か当たると甘みと香りが増します。11月下旬から2月ごろの寒さが、鍋物でとろけるようなネギを作ってくれます。畑にそのまま置いておけば冬じゅう保存が効くので、必要な分だけ掘り上げるのがいちばん楽です。

掘るときは、株元から10cmほど離れたところにスコップを深く入れて土をゆるめ、引き抜きます。引っ張るだけだと白い部分の途中でちぎれます。抜いたネギは新聞紙で包んで冷暗所に立てて置くか、庭の隅に斜めに土をかけて埋めておけばかなり長く持ちます。

うまくいかないとき|細い・倒れる・白い部分が短い

ネギの不調は原因がはっきりしているものが多く、次の三つでほぼ説明がつきます。

細いまま太らないのは、多くが肥料切れか密植です。葉ネギは間引きが足りないと互いに日陰を作り合って伸びず、長ネギは栽培期間が長いため追肥を1〜2回で終わらせると途中で失速します。葉色が淡い黄緑になっていたら肥料不足のサインなので、追肥をして様子を見てください。もうひとつの原因は日照不足で、ネギは半日陰でも枯れませんが、太らせたいなら半日以上日が当たる場所が要ります。

倒れる・寝てしまうのは、株が伸びすぎて自重を支えられていない状態です。長ネギなら土寄せが遅れているサイン。葉ネギの場合は、風の強いベランダで背が高くなりすぎたときによく起きます。倒れた程度では枯れないので、早めに刈り取ってしまえば新しい葉が立ち上がってきます。窒素過多で軟弱に育っていると倒れやすくなるので、肥料の与えすぎにも心当たりがないか振り返ってみてください。

白い部分が短いのは、土寄せの回数不足か、溝が浅かったかのどちらかです。白い部分の長さは「埋めた深さ」でほぼ決まるので、次に育てるときは溝を25cm以上取り、土寄せを4回に分けてみてください。プランター栽培なら、土を足せる余白を最初に空けておくことがそのまま白い部分の長さになります。

もうひとつ、春にネギ坊主(花芽)が出てしまうことがあります。これは苗が一定の太さになった状態で冬の低温に遭うと起きる現象で、越冬させた長ネギではよくあることです。坊主が出ると茎が硬くなるので、見つけ次第つみ取り、早めに食べてしまいます。太すぎる苗を秋に植えない、というのが予防になります。

まとめ|刈って増やす葉ネギ、寄せて白くする長ネギ

葉ネギは浅いプランターに種をまいて間引き、根元を残して刈る。長ネギは深い溝に苗を立てかけ、3〜4週間おきに少しずつ土を寄せて白い部分を伸ばす。この二つを混同しないことが、ネギの栽培でいちばん大事な分かれ道です。買ってきたネギの根元を挿すところから始めても、ネギがどう伸びるかは十分つかめます。

そろえておくと作業が楽になるものを挙げておきます。

  • 野菜用培養土(葉ネギなら12〜15L入りひと袋でプランター1台分)
  • 深さ15cm以上のプランター(長ネギをベランダで育てるなら深型30cm以上)
  • 化成肥料8-8-8などの緩効性肥料と、追肥用の液体肥料
  • 防虫ネットと支柱(アザミウマ・ネギコガの予防に効果が高い)
  • 剣先スコップまたは移植ごて(長ネギの溝掘りと土寄せ用)
  • 展着剤(薬剤散布をする場合、ネギではほぼ必需品)

肥料や農薬の使用量・回数は製品によって異なります。使う前に、お手元の製品の表示を必ず確認してください。

プランターでも長ネギの白い部分は作れますか?

作れます。深さ30cm以上の深型プランターに土を半分だけ入れて植え付け、生長に合わせて数回に分けて土を足していきます。畑ほど長くはなりませんが、白い部分15cm前後はねらえます。土を足せる余白を最初に残しておくのがコツです。

買ってきたネギの再生は何回くらいできますか?

土に挿した場合で1〜2回はしっかり伸び、それ以降は目に見えて細くなります。追肥をすれば多少長持ちしますが、細くなってきたら新しい根元と入れ替えるほうが結果的においしく食べられます。

葉ネギは一年中育てられますか?

種まきの適期は春と秋です。真夏は発芽がそろいにくく、真冬は生育が止まります。ただし一度育った株は寒さに強く、地上部が枯れても春に再生するので、株としては通年ベランダに置いておけます。

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ネギの品種の違いや旬、栄養、保存の仕方をまとめて知りたい方はネギの野菜図鑑をご覧ください。系統ごとの特徴を並べているので、どの品種を育てるか迷ったときの参考になります。

また、土を使わずに水だけでネギを再生させたい方には、姉妹サイトのネギの水耕再生栽培の記事が向いています。容器選びから、水の替え方、細くなってきたときの見切りどきまで扱っています。

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