育ててみた|区画でさつまいも、苗10本を植えて掘り上げまで

掘り上げたばかりの土つきさつまいも

近所のレンタル農園で借りている区画に1畝立てて、紅はるか(べにはるか)の苗を10本植えました。5月24日に挿して、10月18日に掘り上げ。肥料は元肥も追肥も入れず、水やりも最初の数日だけ。それで大小あわせて31個が採れました。ただし畝の端の2本はつるばかり茂って芋が入らず、そこには前の作の肥料が残っていたと思われます。うまくいった部分も外した部分も、日付と数量のまま残します。

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何を・どこで・どう育てたか|市民農園の区画1畝・紅はるかの苗10本・肥料なし

場所は自宅から自転車で10分ほどのレンタル農園で、借りている区画のうち約3平方メートルを使いました。幅70cm・高さ30cmほどの畝を1本立て、黒マルチ(黒いポリのフィルム。地温を上げて雑草を抑える資材)を張っています。さつまいもは地温が上がらないと動き出さない作物なので、マルチの有無で初期の伸びがかなり変わります。

品種は紅はるか。ホームセンターで束になって売られていた苗を10本買いました。ねっとり系で、焼き芋にすると甘みが強く出る品種です。株間は30cmで、畝の長さは3mほど。

そして今回のいちばんの方針が、肥料をいっさい入れないことでした。さつまいもは、特に窒素分が多いと葉とつるばかりが育って芋が太らない「つるぼけ」を起こします。実家でも母は、さつまいもの畝にだけは何も入れません。前の年にトマトを作って残った肥料分でじゅうぶん、という判断です。

さつまいもは、やせた土のほうが芋が入る数少ない野菜です。

使ったもの|道具と費用

新しく買ったのは苗と黒マルチだけで、残りは前から持っていたものです。かかった費用は次のとおりでした。

品目内容費用
紅はるかの苗10本(5本束×2)760円
黒マルチ幅95cm×10m480円
マルチ押さえピン20本入り・在庫分―
移植ごて苗を挿す穴あけ用―
収穫用フォーク4本爪・掘り上げ用―
合計新規購入分のみ1,240円

肥料は買っていません。区画の借り賃は年間契約なので、この作にかかった実費は苗とマルチだけです。31個採れたので、単純に割ると1個あたり40円。スーパーで紅はるかを買うより安く上がりました。

黒マルチの畝に斜めに挿したさつまいもの苗

時系列の記録

植え付けから掘り上げまで147日。作業に行った日だけ書き出します。

5月24日 苗を斜めに挿す

午後3時すぎに畑へ。晴れて気温25度、地面はよく乾いていました。苗はホームセンターで前日に買ったもので、葉がややしんなりしています。さつまいもの苗はつるを切ったもので、根はまだありません。しおれていても挿せば根が出るので、そのまま植えました。

挿し方は「斜め挿し」にしました。つるを土の中に斜めに寝かせる植え方で、土に埋まった節の数だけ芋がつきます。垂直に挿す「垂直挿し」は本数が少なく大きい芋になり、斜め挿しは中くらいのものが数多く採れます。家で食べる分には、大きすぎない芋が数ほしいので斜めにしています。

STEP
1. マルチに穴をあける

株間30cmの位置に、移植ごての先でマルチを十字に切り、穴をあけます。

STEP
2. 斜めの溝を掘る

穴から畝の肩に向かって、深さ5cmほどの斜めの溝を移植ごてで掘ります。

STEP
3. 節を3つ埋める

苗の葉が付いている節を3つ、溝に寝かせて土をかぶせます。先端の葉2〜3枚は地上に出したままにします。

STEP
4. 土を手で押さえる

節と土を密着させるように、手のひらで上から軽く押さえます。

STEP
5. 株元に水をやる

1株あたりコップ1杯ほど、株元にゆっくり流し込みます。

10本を挿し終えて所要は40分ほど。植えた直後は10本とも垂れ下がって、正直「全部だめかもしれない」という見た目でした。

6月 つるが伸び始める、水は最初だけ

5月27日、3日目に見に行くと、まだ全部しおれたまま。ここでもう一度だけ水をやりました。

6月1日、8日目。10本のうち7本が立ち上がっていました。残り3本も葉の色は生きているので放置。この日以降、収穫まで一度も水をやっていません。さつまいもは乾燥に強く、雨だけで足ります。むしろ水が多いと芋が太りにくくなります。

6月14日、21日目。全10本が活着(根が出て自分で育ち始めること)しました。新しい葉が出ていれば活着したと見ていいです。つるは20〜30cmほど。

6月末には、つるがマルチの外へ這い出し始めました。この時期にやることは、雑草を抜くくらいです。

8月 つる返し

7月の間につるは畝の通路まで広がり、8月9日に1回目の「つる返し」をしました。伸びたつるを持ち上げて裏返す作業です。

さつまいものつるは、地面に触れた節から根を下ろします。この根が土の栄養を吸ってしまうと、本来の株元の芋に回る分が減ります。だから、つるを持ち上げて根を切り、元の畝の上に戻します。手でつるの束をまとめて、ぐいと持ち上げて反対側に置く。3mの畝で15分ほどの作業でした。

8月30日に2回目。このときは持ち上げたつるの節から、すでに白い根が5cmほど伸びていました。切って戻します。

【つる返しを忘れると】

つるの節から出た根に、小さな芋がいくつも付くことがあります。掘ってみると、株元に大きいものが入らず、あちこちに親指ほどの芋が散らばる結果になります。夏の間に2回ほど、つるを持ち上げて裏返しておくのが効きます。

10月18日 掘り上げ、大小あわせて31個

10月に入ると葉の色が薄くなり、下葉から黄ばんできました。植え付けから約150日が経ち、晴れの続いた10月18日に掘り上げました。掘る日は、土が乾いている日を選びます。濡れた土だと芋に泥がこびりつき、貯蔵中に傷みやすくなります。

まずつるを株元から30cmほど残して鎌で刈り、マルチをはがします。畝の外側30cmくらいのところに収穫用フォークを深く差し、てこの要領で土を起こしました。芋は畝の中心より外へ広がっていることが多いので、株のすぐ真上を掘ると刺してしまいます。それでもこの日、1本だけ大きいのを真っ二つにしました。

結果は次のとおりです。

区分個数備考
大(300g以上)8個最大は520g
中(150〜300g)14個焼き芋にちょうどいいサイズ
小(150g未満)9個うち3個は傷あり
合計31個総重量 約6.8kg

10本で6.8kgなので、1株あたり3個前後・700gほどという計算でした。子どもが掘るのを面白がって、大きいのが出るたびに持ち上げて重さ比べをしていました。

収穫後 2週間置いて甘くする

掘ったその日に洗いたくなりますが、洗いません。水に濡らすと傷みが早くなります。土は乾いてから手で払う程度にして、掘った日は半日ほど畑の上に並べて表面を乾かしました。

持ち帰ってからは、新聞紙にくるんで段ボール箱へ入れ、玄関の隅に置きました。さつまいもは寒さに弱く、冷蔵庫に入れると低温で傷みます。13〜15度くらいの、風の通る暗い場所が向いています。

掘りたてを一つ試しに焼いてみたら、すでに甘みはありました。紅はるかは糖化しやすい品種で、収穫直後でも十分食べられます。それでも、2週間置いてから焼いたものは明らかに違いました。中がねっとりして、切り口に蜜がにじみます。デンプンが時間をかけて糖に変わるためで、この「追熟(ついじゅく)」の待ち時間が、家庭菜園のさつまいもでいちばん得をするところです。

収穫後は洗わず、新聞紙に包んで常温の暗所へ。冷蔵庫には入れません。

うまくいかなかったこと|肥料が残っていた場所のつるぼけ

畝の北側の端、2株分だけが明らかに違いました。葉が濃い緑で大きく、つるは他の株の倍近く伸びて、8月のつる返しでもそこだけ手に余るほど茂っていました。見ていて一番元気そうだったのに、掘ると出てきたのは細い根のような芋が4本だけ。重さにして200gにも届きません。

原因ははっきりしていて、その場所は前作でナスを作っていたところでした。夏の間ずっと追肥を続けた区画の端で、窒素分が残っていたのだと思います。さつまいもは窒素が多いと、地上部を育てることにエネルギーを使い切ってしまいます。葉が元気なほど芋が入っていない、という逆転が起きます。

葉の色が濃く、つるだけが勢いよく伸びている株は、つるぼけを疑ってください。

途中で気づける合図もありました。7月半ばの時点で、その2株だけ葉のサイズが手のひらより大きかったのです。あのとき、つるの先端を摘んで伸びを止めるか、少なくとも「ここは期待しない」と分かっていれば、掘るときにがっかりせずに済みました。次は、前作で肥料をよく入れた場所を避けて畝を立てます。

もう一つの失敗は、掘り上げのときにフォークで芋を刺したことです。切ってしまった芋は貯蔵できないので、その日のうちに天ぷらにしました。傷んだわけではないので味は問題ありません。

新聞紙に包んで段ボールで追熟させるさつまいも

振り返りと道具リスト|前作の肥料を残さない

肥料を入れずに植えて、水は最初の数日だけ、夏につる返しを2回。作業らしい作業はこれだけで、147日後に6.8kg。手のかからなさでいえば、区画で育てた野菜のなかで群を抜いていました。虫の消毒も一度もしていません。葉を食べる虫は来ましたが、地下の芋には影響がありませんでした。

次に育てるなら、変える点は二つです。一つは畝の場所で、前作に肥料を多く使った区画は外します。もう一つは掘り上げ日で、今回は10月18日でしたが、大きくなりすぎた520gの1本は中に筋が入って食感が落ちました。10月上旬に一度試し掘りをして、中くらいの大きさを確認してから全部を掘るほうが、食べやすい芋がそろいます。

使った道具のうち、これから始める人が用意しておくと作業が早いのは次の3つです。

  • 黒マルチ(幅95cm前後):地温を上げて初期の活着を助け、雑草をほぼ抑えます。さつまいもは生育期間が長いので、草取りの手間が減る効果が大きいです。畝幅70cmなら95cm幅を選びます。
  • 移植ごて(ステンレス製):苗を斜めに挿す溝を掘る道具です。土離れのいいステンレス製が扱いやすく、目盛りが刻んであるものだと植え付けの深さをそのまま測れます。
  • 収穫用フォーク(4本爪):スコップだと芋を切りやすいので、爪の間から芋が逃げるフォーク型が向きます。区画で掘るなら、柄の長い立ったまま使えるタイプが腰に楽です。

肥料と支柱は、さつまいもに関しては不要でした。プランターで育てる場合は袋栽培用の深型を使いますが、それはまた別の記録に残します。

さつまいもの苗は、斜め挿しと垂直挿しでどう違いますか?

土に埋める節の数で芋の数が決まります。斜め挿しは節を3つほど埋めるので中くらいの芋が数多く、垂直挿しは節が1〜2つで数は減るぶん1本が大きくなります。家庭で食べるなら斜め挿しが扱いやすいです。

肥料は本当に入れなくていいのですか?

前に何かを作っていた畑なら、残った肥料分で足ります。新しく買った培養土などで育てる場合も、さつまいも用として売られているもの以外は窒素が多めなので、追肥はしないほうが芋が入ります。葉ばかり茂るつるぼけの原因が、だいたい窒素のやりすぎです。

収穫してすぐ食べてもいいですか?

食べられますが、紅はるかのようなねっとり系は2週間ほど置くと甘みがはっきり変わります。洗わずに新聞紙で包み、13〜15度くらいの暗い場所に置いてください。冷蔵庫は低温障害を起こすので避けます。

関連記事|連作障害と畑の土作りへ

今回つるぼけを起こしたのは、前作の肥料が残っていたためでした。区画を借りて何年か続けて使うなら、何をどこに植えたかの記録と、畝ごとの土の状態を把握しておくと、こういう外し方が減ります。

同じ場所に同じ科の野菜を続けて植えたときに起きる不調については連作障害の起きる野菜と、区画の回し方にまとめています。さつまいもはヒルガオ科で、連作に比較的強い部類です。畝を立てる前の土作りそのものはレンタル農園の区画で最初にやる土作りが入口になります。

なお苗の入荷時期や価格、区画の空き状況は年や地域で変わります。植え付けの予定を立てるときは、利用する農園や販売店の最新の案内を確認してください。

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