家庭菜園を始めた1年目は、マンションのベランダにプランター4鉢、近所の市民農園に1区画という構えでした。収穫はそれなりにあったのに、ノートを読み返すと成功より失敗のほうが細かく書いてあります。この記事では4月から11月までに起きた7つの失敗を、日付と数量つきで順番にたどります。同じ場所でつまずかないよう、そのとき何をして、2年目に何を変えたかまで書きました。
何を・どこで・どう育てたか|ベランダ4鉢と市民農園1区画、最初の1年
ベランダは南向きで、午前9時から午後2時くらいまで日が当たります。ここに幅65cmの標準プランターを2つ、直径30cmの丸鉢を2つ置きました。植えたのはミニトマト2株、ナス1株、ピーマン1株、それと季節をずらして小松菜とラディッシュです。
市民農園のほうは3m×5mほどの区画で、自転車で12分。ここにはキュウリ、枝豆、サツマイモ、そして秋に大根を植えました。区画は土がむき出しのぶん自由度が高い代わりに、通わないと一気に手に負えなくなる場所でした。
結果を先に言うと、ミニトマトは2株で通算180個ほど採れて大成功、小松菜と大根はほぼ全滅に近い出来でした。採れたか採れなかったかの差は、種や苗の良し悪しではなく、ほとんどが「やる順番」で決まっていたと思います。
使ったもの|道具と費用、無駄になったもの
最初にそろえたのは、プランター4つ、鉢底石、野菜用の培養土14L入りを4袋、元肥入りでない土だったので化成肥料、じょうろ、園芸用のハサミ、それに苗です。培養土は1袋800〜900円ほど、苗は1株150〜250円くらいでした。ここに区画の年間利用料が加わります。自治体や農園によって幅がありますが、数千円から1万円台というところが多く、私の借りた区画も年額で1万円を切る程度でした。料金は改定されることがあるので、申し込み前に募集要項を見るのが確実です。
道具全体では、初期費用がしめて1万5千円ほど。これに肥料や支柱の買い足しが夏までに3千円ぐらい乗りました。ミニトマトが180個採れたことを考えれば元は取れた計算ですが、この中には完全に無駄になったものもあります。
無駄だったものの筆頭は、小さすぎたプランターです。深さ15cmほどの浅い鉢を「かわいいから」という理由で買い、そこにナスを植えてしまいました。ナスは根を深く張るので、真夏は朝に水をやっても夕方には土がカラカラ。8月に一度しおれさせてから、結局ひと回り大きい鉢に植え替えています。もうひとつは霧吹き。葉水をやるつもりで買いましたが、屋外の菜園ではほとんど出番がありませんでした。
最初の買い物で迷ったら、鉢は「思っているよりひと回り大きいもの」を選ぶと失敗が減ります。

時系列の記録|失敗した順に
ここからは、実際にやらかした順に並べます。月ごとにひとつずつ、律儀に新しい失敗が出てきました。
4月 苗を買いすぎて置き場所が足りない
4月18日、ホームセンターの園芸コーナーで苗を買いました。買う前に決めていたのは「ミニトマト2株とナス1株」だったのに、レジを出たときには9株になっていました。ピーマン、シシトウ、キュウリ、それに安くなっていたバジルとイチゴまで抱えて帰ったからです。
家に着いてベランダを見て、はじめて置き場所がないことに気づきました。プランターは4つしかありません。結局その日のうちに土と鉢を買い足しに戻り、キュウリは区画のほうへ持って行き、イチゴは3週間ほど仮住まいのポットのまま育てて弱らせてしまいました。
苗は生き物なので、買った日から待ってくれません。買う前に「鉢の数」ではなく「置ける面積」を測っておくと、この失敗は起きなかったはずです。65cmのプランターは、置いてみると意外に幅を取ります。
5月 支柱を後から立てて根を傷めた
4月20日に植えたミニトマトが、5月上旬には30cmを超えて揺れるようになりました。あわてて5月9日に支柱を買ってきて、株のすぐ横にぐいぐい挿したのですが、途中で「ぶつっ」という手応えがありました。根を切った音です。
その後1週間ほど、下の葉が黄色くなって成長が止まりました。持ち直しはしたものの、明らかに出遅れています。支柱は植え付けと同じ日に、株から10cmほど離した位置に立てるのが正解でした。
2年目からはこの順番で作業しています。
鉢底石を底が見えなくなる程度に敷き、培養土を縁から3cmほど下まで入れます。この3cmは水をやったときに土があふれないための余白(ウォータースペース)です。
苗を置く前に支柱を挿します。何もない土なら根を傷める心配がなく、鉢底近くまでしっかり差し込めます。
ポットから抜いた苗は根鉢(根と土が固まった部分)を崩さず、支柱から10cmほど離して植えます。
鉢底から水が流れ出るまで与えてから、茎と支柱を8の字にゆるく結びます。きつく縛ると茎が太ったときに食い込みます。
6月 水のやりすぎで苗が徒長
6月は梅雨で、雨が続きました。それなのに「毎朝の水やり」を日課にしていたので、土がずっと湿ったままになっていたのです。6月14日のメモに「ピーマンの茎がひょろ長い、葉が薄い」とあります。徒長、つまり茎ばかりがひょろひょろ伸びて弱くなった状態です。
水は「毎日」ではなく「土の表面が乾いたら」やるものだと、このとき体で覚えました。指を第一関節まで土に挿して、湿り気を感じるならその日はやらない。この判断に切り替えたら、7月以降は徒長が止まりました。
すでに伸びてしまった苗も、支柱で支えて日当たりを確保すればある程度は立て直せます。徒長した苗の扱いは別記事にまとめました。
7月 防虫ネットを張らずに小松菜が穴だらけ
6月28日にプランターへ小松菜の種をまき、7月5日に発芽。ここまでは順調でした。ところが7月19日、葉を見たら20株ほどのほとんどが穴だらけ。犯人はアオムシとキスジノミハムシで、小さな黒い虫が飛び跳ねているのも確認できました。
アブラナ科の葉もの野菜は、虫にとってごちそうです。種をまいた直後からネットをかけておけば、この被害はほぼ防げました。食べられてからかけても、中に虫が入ったまま閉じ込めることになるだけです。
葉もの野菜のネットは「まいた日」に
種まきと同時に防虫ネットをかけ、裾は土や洗濯ばさみですき間なく押さえます。虫が入る隙間は1mmあれば十分です。
生育途中からかける場合は、葉裏の卵と幼虫を取り除いてからにします。
8月 区画に通えず雑草に負けた
8月は暑さと帰省が重なって、市民農園に11日間行けませんでした。8月17日に久しぶりに区画へ行くと、膝の高さまで雑草が茂っていて、枝豆がどこにあるか分からない状態。草を抜くだけで2時間かかりました。
夏の雑草は、放っておくと1週間で見違えるほど伸びます。水と養分を奪われるので、野菜のほうは明らかに勢いが落ちていました。枝豆は収穫できたものの、さやの入りが悪く、예定していた量の半分ほどでした。
対策として2年目からは、通路と株元に敷きわらを敷いています。草が生えにくくなるうえ、土の乾きもゆるやかになりました。行けない期間が読めるなら、出かける前に一度きれいにしておくだけでも戻ったときの絶望感が違います。
9月 秋まきを逃した
夏野菜の片づけに追われているうちに、秋冬野菜の種まき時期が過ぎていました。白菜もブロッコリーも、8月下旬から9月上旬には苗を植えるか種をまいておきたかったのに、区画の畝を空けたのが9月21日。もう遅すぎました。
家庭菜園は「今の野菜を育てながら、次の野菜の準備をする」という二重作業が必要です。夏野菜が最盛期の8月に、もう秋の段取りを始めておかないと間に合いません。カレンダーに種まきの予定を書き込むようになったのは、この失敗からです。
11月 大根を抜き遅れて筋だらけ
9月24日に区画へ大根の種をまき、10月4日には間引きを済ませました。ここは珍しくうまくいって、11月に入るころには葉が立派に茂っています。
問題は収穫日でした。「もっと大きくしよう」と欲を出して、11月29日まで置いたのです。抜いてみると太さは申し分なかったのに、切ったら中に筋が走っていて、す(中身がスカスカになった空洞)も入っていました。煮ても食感が残ってしまい、8本中5本は味噌汁の具にするのが精一杯。
大根は種まきからおよそ60〜90日が収穫の目安で、品種と気温で前後します。「まだ太りそう」と思ったあたりが、だいたい採りどきでした。
うまくいかなかったこと|共通していたのは「先にやるべきことを後にした」
7つ並べてみて気づいたのは、どれも知識が足りなかったというより、順番を間違えていたということです。支柱は植えた後に立て、ネットは食べられた後にかけ、草は伸びてから抜き、種まきは時期が過ぎてから思い出しました。大根だけは逆で、採るべきときを過ぎてから抜いています。
野菜づくりには、取り返しがつく失敗とつかない失敗があります。水のやりすぎは翌日から直せますが、まき時を逃した種はその年には戻りません。支柱で切った根も、生えなおすまで待つしかありません。後からでは効かない作業を、先に片づける。1年目に学んだのは結局これに尽きます。
ついでに言えば、失敗の多くは「その日のうちに5分でできた」ことばかりでした。支柱を立てるのも、ネットの裾を押さえるのも、大した手間ではありません。面倒なのは、手遅れになってからの立て直しのほうです。

振り返りと道具リスト|2年目に変えた5つ
2年目に入るとき、やり方を5つだけ変えました。あれこれ増やすと続かないので、数を絞っています。
- 苗を買う前にベランダの寸法を測り、買う数を紙に書いてから店に行く
- 植え付けの日に支柱を先に挿す(土だけの状態で挿せば根を切らない)
- 水やりは指で土を触ってから決める
- 葉もの野菜は種まきと同時に防虫ネットをかける
- 8月のうちに秋まきの予定をカレンダーへ書き込む
3年目の今も、この5つはそのまま続いています。ミニトマトの収穫数は1年目より増えましたし、何より「後から慌てる」場面が減りました。
道具のほうも入れ替えました。用途別に挙げておきます。
- 深さのあるプランター:ナスやトマトなど根を深く張る野菜には、深さ25cm以上・容量20L前後のものを選びます。浅い鉢は葉ものやラディッシュ向き
- 野菜用の培養土:元肥入りを選ぶと、植え付けから1か月ほどは追加の肥料を考えずに済みます
- 支柱とビニタイ:プランターなら長さ150cm・太さ11mm程度が扱いやすく、風でしなりにくい
- 防虫ネットと支柱アーチ:目合い1mm以下のものを。裾を押さえるクリップも一緒に用意します
- 自動水やり器:帰省や旅行で数日空けるなら、タイマー式かペットボトル差し込み式があると夏を越せます
- 敷きわら・マルチ:区画の雑草と乾燥をまとめて抑えられ、8月の絶望を減らしてくれます
次に育てるなら、1年目に手を出さなかった秋冬のホウレンソウとカブを本気でやりたいと思っています。夏より虫が少なく、葉ものの成功率が上がる季節なので、1年目に小松菜で受けた屈辱をここで返す予定です。
関連記事|徒長した苗の直し方と防虫ネットへ
この記事で触れた失敗のうち、対処法を詳しく書いたものがあります。6月のひょろひょろ事件については徒長した苗の直し方に、支柱と土寄せでの立て直し方をまとめました。7月の穴だらけ小松菜については防虫ネットの張り方と選び方で、目合いの選び方と裾の押さえ方を写真なしでも分かるように書いています。
これから始める人は、家庭菜園のはじめ方から読むと、何をどの順でそろえるかが見えるはずです。1年目の失敗は避けられるものばかりでした。
